破産手続がどのように進行し、終結するかを東京地裁の場合を例として解説する。
(1) 申立
必要書類を揃えて裁判所に破産手続を申し立てる。
(2) 破産手続開始決定
申立の翌週水曜日(東京地裁以外では最大数週間後)に、裁判所により、破産手続開始決定が行われ、裁判所が選任した弁護士が破産管財人に就任する。
これにより、会社及び自由財産を除く個人財産は、破産管財人の管理下に置かれることになる。
(3) 管財人による財産の換価・債権届出
開始決定から3か月程度かけて、管財人により、会社及び個人財産の処分が行われる。会社の在庫処分等については、代表者に協力を求められることも多く、法律上、協力義務があるため、一定程度の時間を割いて、協力を行う必要がある。 なお、この協力義務を果たしている限り、破産手続中でも再就職等は可能であるので、できる限り早い時期に生活を再建することが可能となっている。
破産手続中、郵便物は管財人に転送される。これは隠している財産がないかなどを確認するためであり、申立書に記載していない財産等が発見されると、個人の免責不許可自由となる場合があるので、注意が必要である。
この間に、債権者により、債権届出が行われるが、滞納税金や給与等の優先的な債権が大きい場合や財産があまりない場合は、届出書の金額を認めるか等の認否は留保される。
(4) 第1回債権者集会
申立から3か月程度後、裁判所にて、第1回の債権者集会が行われる。
ここでは、管財人から財産処分の状況等が説明される。
この時点で全ての財産処分等が終わっていれば、破産手続は終結する(配当がある場合は配当が行われるが、ない場合も多い。)。
(5) 第2回以降の債権者集会
財産処分に時間がかかれば、3か月程度後に再度債権者集会が行われ、以後3か月程度ごとに同様のことが繰り返される。
(6) 破産手続の終結
破産手続が終結すれば、会社は消滅するが、個人の場合は、免責手続が行われる。
(7) 免責許可決定
免責手続は、破産により個人財産が処分され、配当があれば配当された後に残った債務をゼロとする手続きである。免責不許可事由としては、債務が増えた理由が、ギャンブル、風俗、浪費である場合等である。なお、免責不許可事由があっても、真摯に反省し、破産手続きに積極的に協力している場合であれば、裁判所の裁量により免責許可決定が行われる場合が多い。
なお、租税債権等は、免責されない債権であるので、税金の滞納がある場合は注意が必要である。
免責許可は、債権者集会の会場にて、裁判官が破産管財人に意見を求めた上で、決定する。
(9) 免責許可決定の確定
免責許可決定がなされると、2週間程度後に官報に公告され、その後2週間以内に債権者から不服が申し立てられなければ、免責許可決定が確定し、債務がゼロとなる。