中小企業の事業再生を行う場合、数百万円以上の手続費用が捻出できかったり、滞納税金・賃金があったり、資金繰りがショートしてしまったなどの理由で、民事再生手続きを利用できない場合も多い。

 民事再生が難しい場合でも、事業の一部であれば黒字化が可能であったり、スポンサーの下でシナジー効果により黒字化できる場合があり、単に破産してしまい全てを清算してしまわずに済むこともある。
 そのような場合、会社の事業の一部又は全部を事業譲渡・会社分割で
スポンサー等の別会社に 移転し、そこで事業の再生を行うことが考えられる。

 かつては、一部の弁護士により、分割後の会社を放置するなどして、債権者を害し、経営者のみの利益となるような詐害的な会社分割が問題となっていたが、判例・法改正により、詐害的な会社分割・事業譲渡が行われた場合は、譲渡先の会社にも責任が及ぶこととなった。

 そこで、事業譲渡・会社分割により、事業を移転した後に、破産することを選択する場合には、事前にメインバンク等の主要債権者と十分に協議を行うことが必要となる。
 そして、事業譲渡代金・会社分割の対価については、不平等弁済にならないよう留意すべきである。原則としては、破産の申立費用以外は管財人に引き継ぐことが必要になろう。

 事業譲渡・会社分割後に、破産する場合、会社自体はなくなってしまうが、従業員の雇用の一部又は全部が引き継がれることが多いし、取引先も譲渡先との取引を継続できることで、連鎖倒産を避けられることも多いと考えられる。

 また、破産管財人の下で、二束三文で資産が譲渡されるより、事業を一括して譲渡する方が価額が高く、債権者にとっても有利である。

 したがって、民事再生が難しいからと言って、安易に破産を選択するのではなく、他社の下でも事業が継続される可能性を探るべきである。

 以前の詐害的な会社分割や事業譲渡があった関係で、東京地裁の破産申立書のフォーマットでは、申立前の事業の承継があった場合、チェックマークを付すようになっており、裁判所の目も厳しくなっている。
 したがって、公正な価値で事業を承継したことを裁判所・管財人に十分に説明できるように、公認会計士による事業価値算定を行っておくことなどが有用である。

 当事務所では、このようなケースにも多数対応してきているので、資金繰りが厳しいが、何とか事業を継続させたいと考えている経営者の方は、質問フォームからお気軽に相談をして欲しい。